頂-ただひとり-の編-あみ- 第九話 2
 

学校の近くまで来ると、街並みが変わる。

まるで、外国にでも来てしまったかのような感じ。

整然と並んだ家々、石畳の歩道、手入れの行き届いた街路樹、

車道も、スクールゾーン故か、交通量が少なく感じる。

ごちゃっとしたのも好きだけど、こういう雰囲気も悪くはない。

と、その時、この街並みと同様、整然とした雰囲気の背中を見つけた。

私と同じ制服。背中でわかる物静かな佇まい。良家のお嬢さんだろうか?

まあ、私も良家と言えば良家らしいので、傍から見ればあんな風に見えるのだろうか?

何となく、うずうずする。声をかけてみようか…?

それとなく彼女に近づいてみる。すると、妙な気配でも察知したのだろうか、彼女がこちらを振り向いた。

「!」私を睨みつける様な、鋭い視線。「お、おはよう…はじめまして…」挨拶がぎこちなくなってしまった。

すると、何と、彼女はにっこり笑って「おはよう! あなたも新入生?」と挨拶を返してくれた!

いい人だ、と思い、少し悪いが、心の中を読ませてもらおうと思った瞬間、能力を自制してしまった。

彼女が何かをしたわけではなく、他の何かがどうこうした、というわけでもない。

私自身が、彼女の心を見るべきではない、と判断したのだ。

彼女の心の中には見てはいけないものがある。確かに他の人の心だって見ていいものじゃないけど、

そういうのとは違う。これは、私の完全な勘だけど、とにかく、彼女の心の奥を知ってはいけない。

そう感じたのだ。

「どうしたの?」

「あ! えーと… 私、編。宮田編って言います」

「編ちゃん? 私は観里。能岡観里。よろしくね!」

「よろしく!」  

 

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