頂-ただひとり-の編-あみ- 第八話 14
 

私の鋭く伸びた爪が、彼女の胸元を引っ掻く。

露わになった、わずかにふくらむ白い肌が引き裂かれ、血が滴る。

「あぁー!!」彼女が声を上げ、胸を隠し、うずくまった。

私も、彼女の先程の小爆発を受け、鬼の影響で、身体は無事なものの、服がボロボロではあった。

だが、何も隠さず立ち、彼女を見降ろす。

「他に誰が見てるわけでも無いよ、さあ、立ちなさい」

「!!」彼女は、恐ろしいものを見る様に私を見上げた。

まあ、今の私が、随分人間離れした姿であるのは承知だ。

「化け物…」

「ふん…あなたの力も、充分化け物だよ」

「化け物は! 私の魔法で! やっつける!」

彼女が、突然大きな声を張り上げたかと思うと、霊力の集中を始めた。

霊力を集中させている場所… 彼女の体内…!

「な、何を… 馬鹿なことは…」

「やっつける! やっつけるんだから!」

「何か、助ける方法は…」

と、考えようとした時、突然私の手が、彼女を殴りつける。

霊力の集中が止まった。

彼女の顔を覗き込むと、息はしている。気絶をしているだけだ。

鬼の本能なのだろうか? 何も考えずとも、合理的な判断で、私も彼女も無事だった。

すると、体中の力がすうっと抜けていく。私の頭に生えていた角も消えた。

「一仕事終えて、引っ込んだんだね…」心の中で鬼に「ありがとう」とつぶやく。

だけど、彼女の能力を消せない限り、意味が無い…

どうしよう… そう思った時

「済んだか」  

 

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