頂-ただひとり-の編-あみ- 第八話 13
 

鬼の力を得た私は、彼女の姿を視界に捉えるやいなや、走り出した。

相手の能力の性質上、うかつに近づいたらまずいと思っても、止まらない。

彼女が、霊力を集中する。「まずいか?」そう思ったが、どうやら、杞憂だったらしい。

彼女の能力は、霊力を集中させて、それを爆発させるもの。

自分に被害が及ばない位置から、霊力をじっくり集中させ、強力な爆発を起こすのが理想形ならば、

至近距離で走り寄ってくる相手には、あまり有効では無い。

だが、彼女は次の手を考える。私の周囲の霊力が、急に「ポンッ」と弾ける様な爆発を起こす。

なるほど、そう来たか。爆発が小規模な程、集中する霊力は少なくて済む。

だけど、この程度の爆発じゃ、鬼の力を発現させた私には通用しない。

それを悟った彼女は、集中する霊力を、私の通るであろう地点に集中し始める。

すると、私の脚が、軌道を変え始めた。どこに霊力を集中させてるかわかっているのに、

そこにわざわざ飛び込む必要は無い。

ともかく、これで、事実上、彼女の「爆発技」は封じたことになる。

彼女の懐に達した私は、彼女に飛びかかる。彼女に他にどんな能力が与えられたのか、わかっていないのに。  

 

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