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頂-ただひとり-の編-あみ- 第七話 10
 

彼女を探そうにも、探す当てがあるわけではない。

これで、本格的にどうしようもなくなった。

街に出てはみるものの、為すすべも無くうろつくだけ。

無力感に苛まれているその時、前から歩いてきたのは

「前田…!」

「俺を出しぬき、ターゲットに接触できたとは、大したものだ。

さすが、頂だけのことはある」

「…彼女の行方は…?」

「俺がそんなことを把握する必要があるのか?

基本的に、俺が能力を与えた者には、その後、進んで接触することはしない。

先日の、少年の件については、ただ単に気まぐれだ」

「そんな…無責任な…」

「そんなことに責任を持たねばならない立場では無いのでな。

むしろ、彼等が好き勝手にやってくれた方が都合がいいのだ」

「お前は…何を目的としているの?」

「世の中のあるべき姿とは何かを見極めたい、それだけだ」

「世の中のあるべき姿? 今のこの世の中はあるべき姿ではないの?」

「その検証も含めてだ」

「それを知ってどうするの?

『世界を変える』とか言いだすつもり?」

「別に、どうするつもりでもない。

だが。この世界には、あるべき姿に自身を正す力がある。

つまり、今この世界が、大きく間違った方向に進んでいるとするならば、

その流れを正そうとする大変動が起こる。

そうなった時、如何なる者が生き、如何なる者が死すか、見極める者が必要だ」

「それがお前だとでもいうの?」

「むしろ、その役を担うのはお前なのではないか? 頂よ

こんな所で油を売っている場合では無いかもしれんぞ」

「そんな大仕事があるのなら、神様は何故それを黙っているの?」

「お前は、神から、常に信頼ある答えを受け取っているのか?」

「…」

「神は答えを出すべき立場には無い。

この世界の主導権を握るべきは、この世界に生きる生命のみだ。

この世界の現状を知り、この世界をどう形作るか、その責を担うのは、我々ではないのか?

そして、そのうちの重要な一役を担うのは、神と通ずる能力があるお前だという自覚は、

お前には無いのか?」

「…」

「お前は、自分の周囲に目が奪われ、それ故に靄の中で迷い歩いている。

そして、辿り着くのが神頼みとはな」

「役目の為なら、人が死んでもいいと?」

「それが必要な犠牲ならな」

「それが、必要な犠牲かどうか、お前なら判断できるとでもいうの?」

「…」

「全ての人間が、死ぬべきではないとは言わない。

だけど、お前が能力を与えた結果死んだ人達の中には、必ずしも死ぬべきではなかった人が

少なからずいると私は断言する!」

「それも神様から仰せつかったことか?」

「いいえ、神様はそんなこと何も言わない、人の生き死にには特に興味は無いみたい」

「…」

「前田堂座! この場で、私がお前を断罪する!」

「…思い上がるな、小娘が!」

前田の声が、私を激しく揺さぶるが、動じず、臨戦態勢に入る。

すると、私と前田の間に、白い影が割って入った。

「…そこをどきなさい『白』」

「私は、ユキ…堂座がくれた名前…」

前田は、眉ひとつ動かさず、私達の対峙する様子を眺めていた。  

 

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