頂-ただひとり-の編-あみ- 第七話 6
 

「いいのか、前田に連れてかれちまうぞ」

クァ助はそう言う。

「大丈夫、霊的マーキングはしてあるよ。

万一見失っても、前田の能力を得た者は、強い霊力を発するから、

すぐ見つけられる」

「あいつが、お前の言うことを聞かない前提だったのか?

もし聞いてたらどうする気だった?」

「被害を未然に防げたことになるじゃん」

「はあ…?」

「どっちに転んでも結果オーライ、うん、我ながら完璧」

「しっかりしてそうで、やっぱり子供か?」

「何? お肉になりたいの?」

「カラスはまずいぞ…

っというか、能力を与えられた後も、あいつが前田と行動を共にするとは限らんぞ」

「それならそれで、あの人を叩き潰す

そんなことが何回か続けば、前田も私達を無視できない」

「そうかいそうかい、それは気長な作戦だな。

それまで、どうするんだ? いつまでビジネスホテルで暮らすつもりだ?」

「別にその点については、お金はいつでも下ろせるし」

「な… いくら宮田家が良家とは言え… いいのか? こんな小娘に金を自由に使わせて…」

「いいじゃん、別に豪華なホテルに泊まろうってわけじゃないんだから」

「それはそうとな、ホテルに戻る度、いちいち、人の姿になるのは面倒だし、無駄に霊力を使うんだ」

「しょうがないじゃん、小学生の女の子が一人で部屋を借りるなんて、怪しいでしょ?」

「だから、早く解決するための方法をだな…」

「はいはい、わかってますよ、そっちもアイデアあったら早く言ってよね」

私がそう言うと、クァ助は不機嫌そうにそっぽを向いた。

カラスは表情が無いけど、気分がいちいち行動に現れてかわいいな、とふと思った。  

 

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