頂-ただひとり-の編-あみ- 第六話 1
 

「…ここは… グッ…!?」

眠りから覚め、目を開けると、見知らぬ部屋にいた、いや、見覚えがある…

ここは、宮田家の客室…

体を起こすと、脇腹に激痛が走り、全身が硬直する。

「そうだ…私は、街の路地裏で…」

「ようやく、目が覚めたみたいだね」

「!?」

声の方に目を向けると、肩より少し長い髪の、眼鏡の女…あの時の女がいた…!

「貴様!」

と、立ち上がろうとすると、激痛が走る。だが、私の能力を使えば、痛みなんて…

「!?」頭の中に大量のノイズが湧く。

「くそったれ…また…」

「落ち着きな、今暴れたら、治るもんも治らなくなるよ」

「何が目的だ… 私を人質にしても利用価値など…」

「ナメてんじゃないよ! 宮田家を、腐ったヤクザ連中と一緒にすんじゃないよ!」

「へっ…今時義理人情かい… じゃあ、私は、一宿一飯の恩義で何かしやしょうかい?

相撲の勝敗予定表なんてあるんだけど、今場所からモンゴル出身力士に注目しとけよ。

乗っとかないと損するぜぇ」

「生憎、予知、予言関係は、間に合ってますんで、それにその予定表、別の団体からももらったよ」

「何!? うちら通さないで、流通させやがって… どこの団体だい?」

「守秘義務ってのがございまーす」

「ちっくしょー、なら、何がいい? いい小遣い稼ぎさせてやるよ」

「別に、金はもう、いいかな… ある程度、儲けられりゃ、勝手に増えてくからね…」

「景気のいい話してくれんじゃねえか…」

「殺し屋が儲け話とはね…世の中変わったもんだ」

「それは、お前の認識不足だ。

こちとら、先立つもんがねえと食ってけねえのは、そこらの善良な市民様と同じだ。

しのぎ削って、何とかその日暮らし、ってえのが、私らの生き方なのさ」

「…あんたが一番、任侠映画だよ」

 

 

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