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頂-ただひとり-の編-あみ- 第22話 14
 

丸子は、たたらの剣術の構えの一つ、「天津人」で、私に対峙している。

なるほど、たたらは、鬼を倒すという役目を神から与えられた。

そのたたらの技を使うのは、理にはかなっているだろう。

だが、所詮は人間、私を傷つけることなど…

そう思っていた矢先の事である。

私の身体が、右肩から斜めに分断された。

「!? な!? 丸子… 貴様が…?」

「ああ、そうだ。俺が、お前を斬ったんだ」

「馬鹿な! 人間が…」

「人間だからだよ。俺は、どうやら、英雄たる資格があるらしい。

 つまり、俺には、人類を脅かす要素に対して、それが如何なる存在であろうと、

 そこに直接干渉できる能力があるってことだ」

「それで、私の身体を…?」

「まあ、そういうことだろうな」

「何故だ!? 神の加護も、たたらの能力も完全に受け継いだわけではない、ただの人間が…」

「わかんねえか? 人間を生み出したのが、あんたら鬼ならば、わかるだろ?

 獣の魂を持ったまま、神の魂にひけをとらない、そんな極上の魂をつくるために、

 鬼は、生物の精神に飛び込んだ。

 それが、人間の本質を形成する第一歩だった」

「その通りだ。鬼こそ、人間の本質」

「だが、人間は、独自に、たたらや、神との繋がりを持った」

「ああ、そうだ。人間は、利用され、物質世界を連中の思い通りに動かすための道具にされたのだ」

「そして、それが、人間に、本当の『神性』をもたらす要因になった」

「待て、『神性』だと? 神性を持った人間が生まれていたというのか?」

「人間が神性なんて持てやしねえよ。だが、獣性を上質なまでに抽出した、それが人間の魂。

 その輝きは、神性にも劣らない。それ故に、人間は、この世界のあり方に口を出せる存在になった。

 もっとも、環境破壊とかそういうのは別問題だがな」

「それは、どういうことだ?」

「鬼が出しゃばるのは、これが最初で最後ってことだ。

 これからは、外に出ることなんて望まずに、眠って過ごすんだな」

「貴様…!」

「言葉に気をつけろ、ここじゃあ、肉体を持った者が決定権を持つんだ」

そう言うと、丸子は、剣を手放し、手のひらを上に向けた。

すると、その姿はまばゆい光に包まれた。

「あ… ああ… これが… 神性に逼迫する獣性なのか…

 そうか… 我々は、ついに… ここまで到達したのか…

 いや、我々というのはおこがましいな…

 この世界を創り上げた全ての存在こそが、生み出した、まさに奇跡なのだ…!」

「その通りだ」

頂の巫女の声が響き渡る。

「ならば、この魂は、神に並ぶ資格が…」

「それには、まだ遠い。

 魂は、更に一層の輪廻を繰り返し、そして、抽出に抽出を重ね、

 その純度を更に増す必要がある。

 人類の代では、終わらないかもしれぬ」

「まだ…終わらない…」

「嘆くこともない。神やたたらが、人類に接することにより、魂の純度が増したのは事実だ。

 もとより、そうなることがわかっていたからこそ、彼等も協力をしてくれた。

 彼等とて、神性に並ぶ魂が生まれることは喜ばしいことなのだ。

 それまでは、お前達の役目も終わることはないだろう。

 人の精神を、奥底から支えてほしい。そして、次なる牽引者達の力にもなってやってくれ」

「…ああ、わかった…

 思えば、我々は、魂の質を高めることよりも、自身の解放ばかりを望む様になっていた…

 いつからそうなってしまったのであろう?

 それが、生物の持つ欲望に良からぬ影響を与えていた可能性も否定できん…

 うむ… これより、我々は、眠りにつくことにしよう。

 そして、魂の成長を、許される範囲で支えていくことを誓おう」

「ありがとう」

「こちらこそ」

 

 

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