頂-ただひとり-の編-あみ- 第22話 13
 

すると、突然、周囲を炎が取り囲んだ。

「この様な幻影の炎で何をするつもりだ?」

「幻影に見えるのか?」

よく見てみれば、それは、幻影などではなく、

一人の少年が生み出す、イデア変換による高温エネルギー体である。

ここは精神世界であるがゆえに、物質界よりも、イデア変換の影響が生じやすいことは確かである。

だが、ただの人間にここまでの力が発揮されるとは思ってもみなかった。

「丸子佐丸、貴様は確かに、イデア能力者であるが、そこまでの力は無かったはず」

「なら、こいつはどうだ?」

そう言って丸子は、右手を顔の高さにまで上げた。

すると、その手の周囲の空気中から、刀の様な物体が出現したではないか。

「これはどういうことだ?」

「それはね…」いつの間にか、丸子の横に、黒い服を着た少女が立っていた。

「何者だ!?」

「それは今はどうでもいいこと。

 とにかく、今の彼は、かつてほど、鬼の意識共有の影響を受けていない。

 その間に、彼に何が起きても、おそらく、あなたも、他の鬼も、感知できないでしょうね」

「どういうことだ?」

そう私が言うと、丸子は、先程の剣を持ち、私に向けた。

たかが人間に、私を討ち倒す力があるとでもいうのだろうか?  

 

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