頂-ただひとり-の編-あみ- 第22話 2
 

編が、家に友人を連れてきているので、邪魔をせぬように、散歩に出ていた。

道往く人の思考の痕跡が見えるのは、私にとっては普通のことであるが、

その思考の痕跡が、いつもの見え方と違うのは、私の能力に異変が起きたのか、

それとも、全ての人の思考に何らかの異変が起こったのか、私には判別がつかない。

個々の人の思考の痕跡が、通常の十倍近く膨れ上がっており、

しかも、人と人がすれ違うたびに、痕跡同士がくっつき合って、混ざり合ったりしている。

思考の痕跡同士がこうやって、接触し合うのは、

テレパス能力者が、その能力を使っている時に現れる現象であり、

編が、他者の思考を読んだりする際にも同様のことが認められる。

だが、こうやって一般人の思考の痕跡が接触するのは極めて稀であり、

こう、頻繁にくっつき合えば、他人同士の思考が入り乱れて、混乱を起こしかねない、危険な状態である。

私は、なるべく、他人とすれ違わない様、細心の注意を払って散歩を続行する。

それにしても、これが、鬼神の影響なのだろうか?

全く、恐ろしいことだ。  

 

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