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頂-ただひとり-の編-あみ- 第20話 4
 

取り出されたのは、古めかしい雰囲気を帯びた、大きく湾曲した剣。

日本刀とは刃のつき方が逆らしく、鎌の様に、相手に引っかけて切るのであろう。

「残念ながら、持ち帰れたのはこれだけだ。だが、盾に眠る顔は、我が胸の奥にある」

「何わけわかんないこと言ってんのさ」

そして、前田は、右手に剣、左手にハードケースを持って構えた。

ハードケースを前方に突き出している。盾の様に使うのだろうか。

「あんたと、やりあえっての?」

「そうだ。お前も、丸腰ではなかろう」

「… まあね」

私は、鞄から、小刀を2本取り出した。

「それが、お前の真の構えか」

腰から下が正眼と同様、右手の小刀を頭上に振り上げ、

左手の小刀は逆手に持ち、左胸元に添え、切っ先を相手に向ける。

これが、宮田家に伝わる、「陰陽の構え」。

おそらく、たたらの剣術から受け継がれたものであろう。

前田は、ハードケースの陰に隠れながら、ジリジリと間合いを詰めてくる。

ユキは、私達の様子をただ見ている。どうやら、彼女は傍観を決め込んでいる様だ。

「そんなものに隠れて、どうやって戦うつもり?」

その挑発には答えるつもりはない様だ。

ならば、とばかりに私は前田に向かって飛びかかる。

ハードケースごと前田を蹴り飛ばし、体勢を崩させるのが第一の狙い。

それを見越して前田が自ら防御を解くのも狙いだ。

だが、防御を解く気は無いらしい。ならば、蹴り倒す!

その時、前田の剣がハードケース越しに私を狙ってきた!

私はそれをギリギリで回避する。

なるほど、湾曲した剣、古代欧州を中心に広まっていたらしいが、

その湾曲は、切断力を増すのみならず、盾や障害物越しに相手を攻撃できる利点もあったという。

ギリシア神話のある英雄も、この様な湾曲した剣を用いたという。

盾を駆使した戦い方が現在伝わっているが、なるほど、こういう戦い方をしていたのであろうか。

さて、となれば、どう攻めようか。

大きなハードケースの陰に隠れられては、相手の次の動作を見極める事ができない。

そして、うかつに近寄れば、ハードケース越しにあの剣の餌食になってしまう。

しかも、その反撃がどこから飛んでくるかはわからないのだ。

ならば、ハードケースを持つ相手の左手方向を狙う?

当然それも読んでいるだろう。

何とか素早く背後を狙えないものか?

前田相手にそれができれば苦労しない。

そうこう考えている間にも前田は間合いを狭めている。

この路地、そう言えば、この先行き止まりだったっけ?

追い詰められれば敗北は必至。どうする?

行き止まり…そうか。

私は、前田と一定の間合いを取り続けた。つまり、前田が詰めるのに応じて下がり続けた。

前田もそれに応じて、間合いを詰め続ける。

そして、どれほどの時間が経ったか、私の背後に、壁がある。

私は完全に追い詰められた形だ。

そして、前田が突っ込んできた!

私は、背後の壁を蹴り上がり、前田の頭を飛び越え、前田の背後に着地し、

躊躇することなく、前田に斬撃を加えようと振りかぶった。

だが、それを見越したかのように、前田はそれを剣でいなす。

だが、こちらには得物がもう一本。それで…

その瞬間、私の右脇腹に衝撃が走った。

ハードケースによる一撃。盾は、必ずしも防御のためだけのものではなく、

この様に、打撃用武器としても威力を発揮する。

私は、あえて大きく横に吹っ飛び、衝撃を逃がし、転がりながら逃げて体勢を立て直した。

あそこで踏ん張っていたら、盾による押さえ込みの後、猛攻を食らってしまう。

盾による戦法は、現代人が考えている以上に豊富であり、そのほとんどが実戦的でえげつない。

盾は防具であり、鈍器であり、拘束具であり、場合によっては剣の様な切断武器である。

だが、この現代において、こんな盾を用いた戦術をどこで身につけたのだろうか?

そのために海外へ? いや、数年修行したって実戦的な技術は身につくものではない。

実戦経験にしたって、こんな盾を駆使した戦争をどこの国でやっているというのだ。

それに、前田のこの戦い方は、熟練したものである。

まるで、そんな戦い方をしていた時代からずっと戦い続けているかの様な…

そう言えば、変な事を言っていたな、「盾に眠る顔は、我が胸の奥にある」

そして、あの湾曲剣…

まさか…?  

 

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