頂-ただひとり-の編-あみ- 第一話 5
 

今日も学校が終わった

友達のいない私は、学校に長居する理由も無いから、すぐに帰宅の途につく。

基本的に寄り道はしない。する理由もない。

時間は有効に利用したい。

どんな理由をつけて、修行をさぼったって、その分苦しみが増すなら

真面目に取り組んだ方が楽ってものだ。

いつの間にかそう考えるようになっていた。

もし学校に居場所があったなら…

ううん…あり得ない話は考えない。

結局どこかで辛くなるだけならば…

なんてことを考えていると、私の思考に外から干渉があることに気付いた。

私にとって、そういうことは特別なことではない。

どうせ低級霊が変なノイズを送ったりしているのだ。

気にするだけ無駄だ。

ええ、そう、私は無駄が嫌いなんだ。

そんなことを考えているうちに、ノイズはどんどん強くなる。

ちょっとおかしい。低級霊のノイズを受信しても、気にしなければ

それは次第に弱まるはずだ。

これは、霊能者が誰かに向けてメッセージを送っているのかもしれない。

気になった私は、ノイズの強い方角を探り、そっちへ向かった。

かくしてそれは見つかった。

なにやら大きい黒い塊…黒い服なのだろうか? それとも、動物?

近づくと、それはどうやら鳥の様だ、それもカラス。

カラスは身近な鳥だけど、間近で見ることは無かった。意外と大きい。

いや、それよりも、このカラス、かなり弱っている。

「あなたが…私を呼んだの?」

「…」

カラスに何の返事を求めたのか自分でもよくわからない。多分気が動転していたのだ。

とにかく何とかしなきゃと、カラスを抱えて走り回り、ようやく動物病院を見つけた。

獣医は、私の姿を見るなり、カラスに触るのはよくないとか、

カラスは飼っちゃいけない鳥なんだうんぬん言ってたけど、何だかんだでよく診てくれて

結果わかったのが、栄養不足。いっぱい食べれば元気になると言った。

ほっとした私は、色々引っかかることもあったはずだけど、何だかどうでも良くなって

改めて帰宅の途についた。

本当はもっとこの子のそばにいたかった、という考えがよぎったけど

それは、気の迷いだと、飲みこんだ。

そもそもカラスみたいな鳥のそばにいたいなんて、どうにかしていると、

私は、誰かに馬鹿にされたわけでもないのに、精一杯、心の中で強がっていた。  

 

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