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頂-ただひとり-の編-あみ- 第15話 2
 

学校からの帰り、後ろから追いかけてくる足音があった。

「丸子君! どうしたの?」

「能岡の家はどこだ?」

「知ってどうするの?」

「うるせえ、もう、居ても立ってもいられねえ!」

仕方ないとばかりに、私達は、能岡さんの家まで向かう事にした。

歩いている時も、電車に乗っている時も、丸子君は始終無言だ。

思いつめている表情だが、何か、すがりたいものを必死に求めている様にも見える。

敢えて心は読まなくとも、彼の心は手に取る様にわかった。

多分、私も同じく、何かすがるものを求めているからだ。

駅から、能岡さんの家までの道。

駅周辺の商業地を抜けて、住宅街に入る。

人気をあまり感じない、寂しげな雰囲気の街。後ろから当る日の光、目の前に伸びる影

その影が、私達をどこか恐ろしげな場所に誘うような、そんな予感めいた錯覚に、

私は思わず、目を閉じて首を振る。

「…」

丸子君は相変わらず無言だ。

そして、能岡さんの家の近所の、ある通りに差し掛かった時、その通りに違和感を感じた私は、

丸子君を制しようとした。その時、突然、丸子君が走り出した!

「丸子君!?」

丸子君が、電信柱の裏側に何かを見つけた様だ。

「丸子君…?」

「これを見ろ」

そこにあったのは、あの時、能岡さんの誕生日のプレゼントである、髪どめを入れた箱だった。

「警察は捜査をしているって話だったよな…?」

「…うん…」

「証拠になりそうなものは、回収されるよな?」

「うん…」

「これは大事な証拠だよな?」

「うん…」

「じゃあ、何で、これがここにあるんだよ!?」

電信柱の周囲には何者かによる結界が張られている。

この結界内にあるものは、多くの人が気に留めなくなるはずだ。

町内会の掃除当番であったとしても、「怪しげだし、そっとしておこう」と思ったに違いない。

だが、警察の捜査ともなれば話は別だ。強い義務感や責任を感じている者の心までは惑わせないはずだ。

つまり、ここに、この箱があるということは、警察が動いていない、ということである。

「なあ」

「何?」

「ここにこの箱があるってどういうことだ? 中は空だし…」

「箱の中を取り出したその直後、何かあったってこと?」

「そうとしか考えられねえだろ…?」

「じゃあ、何が?」

「わかんねえよ! だけど、先生も何かを隠している感じだった…

 お前、先生と親しいよな? お前も何か隠して…」

「…正直言って、私も裏切られた気分だよ…

 だけど… もし私が先生の立場なら、生徒に危険が及ぶような事は絶対させない。

 丸子君、あまりに能岡さんのことを想うあまり、暴走しそうだもん、

 私なら、やっぱり教えないな」

「…クソッ…」

丸子君は踵を返した。

「どうしたの…?」

「これを見つけただけでも収穫だよ… あいつに一歩近づいたんだ…

 安心しろ、危険なことはしねえよ」

丸子君は、駅に向かった。

私は、無言で丸子君の後をついていった。  

 

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