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頂-ただひとり-の編-あみ- 第15話 1
 

「おはよ」

期末試験の最終日、丸子君は、今日も不機嫌そうに外を見ている。

教科書を読むでもなく、ノートを確認するでもなく。

「ああ」

そっけない返事は、誰に向けられたものでもない、おそらく、私にも。

ふと、教科書に目を遣ると、ちゃんと閉じてないページが何か所かある。

「ちょっと見せて」「ああ」

そっけない返事すら終わらないうちから、教科書を手に取り、パラパラとページをめくる。

「また増えたね」

教科書のページのあちこちに、かたい塊の様なものができている。

まるで、木材の様なそれは、引っ掻いただけでは傷すらできない。

「返せよ」

丸子君は不機嫌な顔を見せ、教科書を奪い取った。

教科書の塊、丸子君は、不機嫌だったり、イライラしていたりすると、

近くにある物体に、小さな膨らみの様なものを作る能力がある。

その膨らみは、その物体が、そのまま膨らんだ様な、

紙なら紙の繊維、鉄なら鉄、塗装してあるものなら表面の塗料が、

その部分だけ増えた様な、そんな感じのものだ。

つまり、実質的、ものを増やす能力がある、ということであり、

使用法によってはとんでもないことになるかもしれないが、

今のところ有効な活用法が見いだせず、ただのストレス発散の方法になり下がっている。

「お前が中学の時…いなくなった奴も同じ事ができたって噂を聞いたぞ」

「…うん」

「お前、仲良かったんだって?」

「…うん」

「…お前、何で、そんな無理してるんだよ?」

「え…?」

「お前は、本当は悲しいんだろ?」

「…」

「最近、お前が無理してるのを見るのがキツいんだよ…」

「無理なんてしてないよ…」

「んなわけ…」

「そりゃあ、友達が突然いなくなるなんて、悲しいよ…

 だけど… でも… でも…」

涙が止まらなくなる。止めようと思ってもなかなか抑えられない。

そうなると、悲しいからとかではなく、面倒だから涙を堪えようとしなくなる。

断じて、悲しいわけじゃない。と自分に言い聞かせる。

「…悪かった…変な話しちまった…」

丸子君は再び窓の外を見る。

私はうつむきながら、涙は流れるまま、黙っている。

ああ、傍目から見たら痴話喧嘩っぽく見えたりして、と変な事を考えてしまった。  

 

■_____2

   

 

 

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