頂-ただひとり-の編-あみ- 第13話 12
 

その後、組織の本部にやってきた、警察を名乗る人達によって、反代理派は、全員が逮捕、

さらわれた学園の生徒達は、保護されたが、既に息絶えている者もいたり、

生きてはいても、今後目が覚める保証は無いという。

本土に戻された私達は、言葉も無く、ただただ、成り行きに身を任せる雨粒の様だった。

さて、事件に関わったことから、面倒なことになるのか、と思われたが、

私達の身辺は、現在、至って平穏である。

事件は、いつの間にか、身代金目的の誘拐として処理された、といつもの刑事さんから聞いた。

組織本部も相変わらず存続している。

クァ助は、マオさんとの交流を深めているらしい。

文景さんと東子さんの関係を探ろうと、今日も、能岡さんは私を連れて、

東子さんの後ろをつけて回っていた。東子さんには多分バレバレだったと思う。

能岡さんも多分知ってる。ただ、何かしていたいだけ。

あれ以来、私達の心には、ぽっかり穴が開いてしまった様な…

悲しい様な…寂しい様な…そんな気分になる。

こんなにも短い間の出会いと別れが、こんなにも重いものだったなんて…

昇降口を出たら、ひどい雨が降っていた。

私と能岡さんは、たった一つの傘を二人で差して、走って帰った。

二人が別れる三叉路、能岡さんは私に傘を押し付けた。

「これ、能岡さんの!」

「ちゃんと返してよね!」

走って去っていく能岡さんの背中を見送り、私はとぼとぼと帰路に就いた。

いつもの橋を渡る最中、傘を打つ雨の音が消えたのに気付いた。

空にはもう、晴れ間が差している。

雲の隙間から、太陽が顔を出し、その反対側には、虹がかかっていた。

ほんの通り雨だった様だ。

こんなにも短い雨、私の手に、能岡さんの傘、空は、こんなにも輝いている。

それに気付いた時、止んだはずの雨が、私の目を曇らせる。

地面に落ちた雫は、太陽の輝きを七色の宝石に変える。

雫を覗きこむ私の顔が、雫に映り込む。ぐしゃぐしゃで、ひどい顔。

精一杯の笑顔を作ってやった。うん、我ながら、かわいい。

 

 

空の上で見ている皆さん、聞こえますか?

あなたがいるから、私が生きています。

私は、あなたたちに恥じない様に、あなたたちの分まで生きていきます。

あなた達の誇りを、決して失わない、そういう生き方をしていきます。

見ていてください。

 

 

太陽が、まぶしかった。  

 

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